特定遊興飲食店の営業許可【クラブ・ショーパブ・ライブハウス・スポーツバーの開業手続き】

風営法の許可の中で何号営業と付いていない珍しい許可がこの『特定遊興飲食店』の許可です。新しくできた許可なんですが、風営法って条文や許可の名前を聞いてもピンとこないものが他に比べても多いんですよね。

ということで、まずは特定遊興飲食店の定義を確認して、その後解説していきます。

目次

特定遊興飲食店とは?

ナイトクラブその他設備を設けて客に遊興させ、かつ、客に飲食をさせる営業(客に酒類を提供して営むものに限る。)で、午前6時後翌日の午前0時前の時間においてのみ営むもの以外のもの(風俗営業に該当するものを除く。)をいう。

風営法第2条第11項

これが風営法第2条第11項に規定されている定義です。ポイントは3つです。

①遊興させる

②客に酒類を提供して営むもの

③午前6時後翌日の午前0時前の時間においてのみ営むもの以外のもの

ポイントの3つを『かつ』と『で、』で繋いでいるのも注目すべき点です。つまりこのポイント全てに当てはまると特定遊興飲食店となるわけです。以下に一つずつ解説していきます。

遊興とは?

まずは、遊興とは?と言うお話になります。

『遊興』はまず、大きく2つに分けて考えることができます。

・鑑賞型サービス

不特定多数の客ににショーを見せる。演奏を聴かせる。歌を聴かせる。等の営業主側がショーを行い客が鑑賞するタイプのサービス。

・参加型サービス

参加型サービスは、ダンスをさせる。カラオケをさせる等、遊戯等を行うよう客に勧めるようなタイプのサービスです。

具体例を少し上げます。

①不特定の客にショー、ダンス、演芸その他の興行等を見せる行為

②不特定の客に歌手がその場で歌う歌、バンドの生演奏等を聴かせる行為

③客にダンスをさせる場所を設けるとともに、音楽や照明の演出等を行い、不特定の客にダンスをさせる行為

④のど自慢大会等の遊戯、ゲーム、競技等に不特定の客を参加させる行為

⑤カラオケ装置を設けるとともに、不特定の客に歌うことを勧奨し、不特定の客の歌に合わせて照明の演出、合いの手等を行い、又は不特定の客の歌を褒めはやす行為

⑥バー等でスポーツ等の映像を不特定の客に見せるとともに、客に呼び掛けて応援等に参加させる行為

以上のような行為と考えられているものになります。なんとなく1号営業でもありそうな・・・という気もしますが、そこは一旦置いといて、ポイントは不特定の客というところです。

長くなりましたが、以上のような点に該当する場合は遊興させるとなります。

②客に酒類を提供して営むもの

これは分かりやすいと思います。お酒を出さなければ特定遊興飲食店とはなりません。ただ、営業形態や営業時間から言ってもお酒を出さないと営業が成り立たない可能性が高いとは思いますが・・・

③午前6時後翌日の午前0時前の時間においてのみ営むもの以外のもの

この点も簡単に考えられます。深夜営業をしなければ特定遊興飲食店にはなりません。朝6時から夜0時までに終わればOKなので。

と言っても、これも現実的ではないですね。そう考えると結局のところ①が大きなポイントになってくるわけです。

風営法1号営業と特定遊興飲食店営業で気を付けるポイント

ここで、1号営業との違いについてお話しておきます。

風営法の1号営業と言えば『接待』がポイントになっていました。特定遊興飲食店の『遊興』の中には接待と紙一重のものもあります。例えば、ショーパブでダンサーの人がダンスを見せ終わった後、チップなども貰うために席を巡回する分には問題ないと思われますが、そのまま客席に座った場合はどうでしょうか?

ここで談笑したりお酌をしたりしたらその時点で接待確定です。風営法の1号営業と特定遊興飲食店営業を兼ねることは出来ませんので、特定遊興飲食店営業の許可で接待をしたら風営法違反となってしまいます。

理論上は1号営業と特定遊興飲食店営業を兼ねることは可能ですが、現実的には難しいため『できない』と記載しています。深夜酒類提供飲食店営業と風営法の1号営業を兼ねることは出来るのか?の項で少しお話しておりますので、宜しければそちらをご参照ください。

特定遊興飲食店営業の営業時間について

法令の示す通り特定遊興飲食店は深夜営業が可能です。

ただし、各都道府県の条例で制限を設けている場合があります。というか基本的にどこの都道府県でも制限を設けています。ここでは、参考までに愛知県・三重県・岐阜県の場合を各県の条例をもとに記載しています。

愛知県の場合:午前5時から午前6時までの営業は不可

三重県の場合:午前5時から午前6時までの営業は不可。ただし、1月1日は可

岐阜県の場合:午前5時から午前6時までの営業は不可

各県の条例は2022年12月現在のものです。随時確認をしておりますが、漏れがあるといけませんので、申請の際に改めてご確認ください。(弊所にご依頼頂いた場合は、当然確認します。)

特定遊興飲食店の営業が出来る場所について

特定遊興飲食店については、他の風俗営業と違ってかなり限定された場所での営業となります。こちらもそれぞれ都道府県条例にて定められていますので、ご紹介いたします。

愛知県の場合

①名古屋市千種区今池一丁目(8番から13番まで、29番、30番に限る。)、今池三丁目(4番に限る。)、今池四丁目(7番、9番~11番までに限る。)、今池五丁目(1番から3番まで、8番から13番まで、18番から27番まで)、同内山三丁目(32番、33番に限る。)、中区栄三丁目(8番から13番に限る。)、栄四丁目(1番、6番、19番を除く。)、新栄一丁目(1番、11番、12番に限る。)、錦三丁目(12番から14番まで、17番から19番までに限る。)の区域

②名古屋市千種区今池一丁目(6番、7番、14番から17番まで、28番に限る。)、同内山三丁目(31番に限る。)、東区東桜二丁目(18番、20番から23番までに限る。)、同東新町、中区栄三丁目(1番から4番まで、14番、19番から21番までに限る。)、栄四丁目(6番に限る。)、栄五丁目(1番、3番から7番までに限る。)、新栄一丁目(2番から6番まで、9番、10番、13番、14番、25番から27番までに限る。)、新栄町三丁目、錦三丁目(1番から4番まで、6番から11番まで、15番、16番、20番から24番までに限る。)同東桜二丁目(18番、19番、21番から23番までに限る。)の区域で保護対象施設の周囲から三十メートルの範囲外の地域

三重県の場合

①四日市市西新地(市道西新地久保田線から北側及び東側の区域を除く。)、諏訪栄町及び西浦一丁目(市道西新地久保田線の区域を除く。)区域

②津市大門の区域

③松阪市愛宕町四丁目、愛宕町(市道塚本春日線から北側及び東側の区域を除く。)、愛宕町三丁目、愛宕町一丁目(市道乙四号線の南側で市道乙三号線の東側の区域及び市道天神横通り線から南側の区域を除く。)、愛宕町二丁目(市道甲一号線及び県道伊勢松阪線から南側を除く。)、宮町(市道塚本春日線の南側及び西側の区域に限る。)、京町(市道塚本春日線の南側で市道薬師道一号線の東側の区域に限る。)、平生町及び五十鈴町の区域

④伊勢市一之木二丁目(東海旅客鉄道株式会社参宮線から北側及び県道鳥羽松阪線の区域を除く。)、大世古二丁目(県道鳥羽松阪線の区域を除く。)、曽二丁目(東海旅客鉄道株式会社参宮線から北側及び県道鳥羽松阪線の区域を除く。)及び宮町二丁目(東海旅客鉄道株式会社参宮線から北側、県道伊勢松阪線から西側及び県道鳥羽松阪線の区域を除く。)の区域

以上①~④の地域内でかつ、保護対象施設から都市計画法上の商業地域の場合70m、その他の地域の場合100mの範囲外にある地域

岐阜県の場合

岐阜市の区域のうち、市道泉町金園町二丁目線と一般国道二百四十八号との交会点を起点とし、順次同国道、一般国道百五十七号、市道若宮町線、市道今川町二丁目真砂町八丁目線、市道八ツ寺町菅原町線、一般国道二百五十六号、市道神田町二丁目美園町一丁目連絡線、市道泉町金園町二丁目線を経て起点に至る線で囲まれた区域で保護対象施設の周囲百メートル(対象施設が商業地域内にあるときは、五十メートル)以下の区域を除く。

特定遊興飲食店の構造的要件

風営法では、建物や設備にも一定の条件があります。この基準を下回るようなものは許可がおりませんので、注意が必要です。

この基準は、内装工事着手前に分かるものも多くありますし、内装工事の仕上げで変更可能なものも多いのでしっかりと把握して無駄のない内装工事しましょう。

・客室の床面積は1室の床面積を33㎡以上とすること。

かなり広めの店舗を想定しています。

・客室の内部に「見通しを妨げる設備」を設けないこと

概ね1m以上の高さのもの、つい立・仕切り・観葉植物やイスも不可、客室内に段差がある場合は要注意。原則一番低い床から1mとなります。

・善良の風俗又は清浄な風俗環境を害する恐れがある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと。

エッチなポスターとかはダメです。水着のグラビアアイドルくらいなら許容されるかもしれませんが、疑いのあるものはやめておきましょう。

・客室の出入り口に施錠の設備を設けてはいけない。(直接外部に通じるものは除く。)

個室を作った場合に鍵などを設置してはいけません。

・営業所内の照度(明るさ)が10ルクス以下とならないようにすること。

照度の調整をする「スライダックス」は原則不可。地域によって固定することで許容されるケースもありますが、色々とローカルルールがあるため要確認。

もちろん、ない方が望ましい。

・騒音、振動の数値が条例で定める数値に満たないように維持できる構造又は設備を有すること。

あまりにも煩いとダメです。

特定遊興飲食店の営業許可申請の必要書類

弊所にご依頼を頂く場合でもお客様の方でご準備いただきたい書類がございます。記載のものをご依頼前後にご準備頂ければ、その他の物は弊所にて作成・取得いたします。

(委任状等、弊所から渡した書類にお客様の方でご記入頂くものもございます。)

・飲食店営業許可証のコピー(弊所でお手伝いしていない場合)

・管理者の証明写真2枚(縦3.0cm×横2.4cm)

・定款の写し(法人の場合)

愛知県・三重県・岐阜県の特定遊興飲食店の営業許可(クラブ・ショーパブ・ライブハウス・スポーツバー)なら弊所にお任せください。土日祝日、夜間の対応も可能です。お気軽にお問い合わせください。

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