「深夜営業」とか「深酒」等と呼ばれることもありますが、正確には「深夜における酒類提供飲食店営業」となります。
風営法の許可が必要な飲食店(社交飲食店)では原則として深夜0時以降の営業は出来ませんが、この深夜酒類提供飲食店営業は社交飲食店と似て非なる業態で、バー(ガールズバーやボーイズバーも含む、接待のないもの)や居酒屋のような営業になるため深夜0時以降の営業も可能です。
この手続きはバーや居酒屋等、お酒をメインに提供している飲食店に必要なもので、ファミレスやラーメン屋さん等、深夜に営業をしていてお酒を提供してはいるが、お酒がメインではない業態(法律上は「通常主食として認められる食事を提供して営むもの」とされています。)には必要のない手続きとなります。
では、酒類提供飲食店営業について以下解説しています。
このページでは
・深夜酒類提供飲食店営業に必要な手続き
・深夜酒類提供飲食店営業の届出の必要書類
・深夜酒類提供飲食店営業開業の流れ
・深夜酒類提供飲食店営業と風営法の1号営業を兼ねることは出来るのか?
・深夜酒類提供飲食店の創業融資
の順にご説明していきます。
深夜酒類提供飲食店営業に必要な手続き
まず、前提としまして「飲食店」となりますので、飲食店営業許可は必須です。これがないと飲食物の提供が出来ませんので。
その上で、「深夜における酒類提供飲食店営業の届出」という手続きが必要になります。
つまり2つの手続きをする必要があるということです。
飲食店営業は許可になりますが、深夜における酒類提供飲食店は届出となります。この許可と届出では随分と手続きの煩雑さが変わりますので、風営法の社交飲食店営業に比べると手続きに必要な期間も書類も少なくなります。
飲食店営業許可は保健所に申請をしておよそ2週間前後で許可の取得が見込めます。
深夜における酒類提供飲食店営業の届出は警察署に届出て10日程で営業が開始できます。
深夜酒類提供飲食店営業の届出の必要書類
ここでは、酒類提供飲食店営業の届出について説明していきます。
飲食店営業許可について別途ページを設ける予定ですので、そちらで解説したいと思います。
・深夜における酒類提供飲食店営業開始届
・営業の方法(定型の書式があります。)
・賃貸借契約書の写し・登記事項証明書等、建物の使用権限を示す書類
・営業所の平面図等(照明・音響設備に関する図面、求積図等)
・住民票(本籍地の記載があるもの※外国籍の場合は国籍の記載のあるもの)
・飲食店営業許可証の写し
・法人の場合は登記簿謄本・定款の写し・役員全員の住民票等
また、地域や管轄警察署によって
・メニュー表
・用途地域証明書
・入居するビルでの位置図(ビルのどの部分に店舗があるか分かる図面)
が追加で必要になる場合があります。
意外とローカルルールがあるため提出する警察署に確認が必要です。
図面については、かなり精度の高いものが求められます。深夜における酒類提供飲食店営業開始届の添付書類で一番面倒かつ難易度が高いと言えるものです。
弊所では図面のみの作成は、弊所にて測量をしたものに限りお引受けしております。お客様が測量したものを図面化するというご依頼は受けかねますのでご了承ください。
深夜酒類提供飲食店営業開始までの流れ
ここでは、店舗(箱)が決まってて、内装工事も完了しているという状況からスタートします。
お店がお決まりでない方はお店探しのサポートもさせて頂きます、内装工事についても業者様のご紹介もさせて頂きますのでお気軽にお申し付けください。(いずれもご紹介後は直接のやり取りをお願いしております。)
①飲食店営業許可申請
まずは飲食店として営業が出来る状態にしなくてはいけません。
②保健所による施設検査
保健所の担当者が実際の店舗にて許可の基準をクリアしているか、設備や構造等のチェックがあります。(立ち合いが必要です。)
③飲食店営業許可証の交付
問題がなければ無事に許可証が交付されます。
④深夜における酒類提供飲食店営業開始届の提出
続いて警察署で届出をします。こちらも弊所にご依頼を頂いた場合でも営業者様の同行が必要です。
⑤営業開始
届出から10日以上経過すれば営業開始です。地域によっては警察署の担当者が見に来ることもあるそうですので、事前に管轄の警察署に確認をした方がいいかもしれません。
深夜酒類提供飲食店営業と風営法の1号営業を兼ねることは出来るのか?
もちろん、接待をしつつ深夜酒類提供飲食店営業もする。という同時進行的な営業はできません。法律で種類を分けた意味がなくなってしまいます。
そうではなく、例えば、深夜0時までは風営法の1号営業として営業し、0時を過ぎたら深夜酒類提供飲食店営業に変える。ということが可能なのか?というお話です。
結論を先に言ってしまうと、ほぼ無理です。
法律を杓子定規に適用すれば、可能な気もしますが、どうしても机上の空論になってしまいます。深夜0時の時点でいるお客様の会計を全員すませて、その時点で横についているキャストを全員帰らせて、そこからバーとして営業する。もちろん接待はしない。という非常に難解な手続きをしなければいけないですし、風営法が守られているかどうか曖昧になってしまいます。
警察としてもあえてその業態を容認すると風営法をきちんと守っているかどうかの確認のため定期的にチェックをしなければいけなくなって、忙しくなるし、法律は守られなくなるし・・・でなんのメリットもありません。
というわけで、法律的には不可能ではなさそうだけれど現実的に考えると無理。というのが結論になります。
深夜酒類提供飲食店の創業融資
バー、ガールズバー、ボーイズバー、居酒屋。どのような営業形態にしても新規開業には大きな資金が必要となります。その資金調達の一つの方法として創業融資が考えられます。
風営法の1号営業(キャバクラ・ホストクラブ等)では創業融資が難しい場合も多いですが、深夜酒類提供飲食店では日本政策金融公庫での創業融資が検討できます。
いわゆる水商売の創業融資は他業種に比べて難しい傾向がありますが、業種によっては前向きに検討してもらえますので検討してみてもいいかもしれません。
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