風俗営業と補助金について【風営のお店も返済不要の補助金は受給可能なのか?】

別ページにて、風俗営業の開業資金借入れ(融資)について解説致しました。

開業資金の話でしたので、営業中の資金についてはほぼ触れていません。(日本政策金融公庫の借入は創業時も営業中も可能です。)

今回は、融資の話とはまた少し変わりますが、営業中に事業を拡大したり違う事業に展開したりするときに受け取れる可能性のある補助金についてのお話です。

ただ、ここでもやはり風俗営業については他業種よりハードルが高くなっています。ここ最近の主な補助金と風俗営業との関係を解説していきたいと思います。

※このページでは風俗営業と補助金の関係を解説しています。各補助金の詳細や申し込み方法等の解説は行っておりませんので、予めご了承ください。

目次

補助金の基礎知識

前提として必要な補助金の知識を簡単ではありますが、解説しておきます。

①国や自治体によって募集されており、資金の一部を補助し事業をサポートするものです。

②事業計画などを提出し、採択されると支給されますが、条件に合致すれば必ず貰えるものではありません。

③返済の必要はありませんが、申請時に提出した内容に基づいて資金を使用しなければいけません。目的外の使用は不可となります。

④適切に使用されたことを確認するため、受給後、経費の使い道や補助金によって事業がどう動いたかなどの実績報告をしなければいけません。 

⑤補助金を使って購入した資産を勝手に売却したり目的外に使用することは認められていません。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続補助金は、小規模事業者が経営を見直し、自らが持続的な経営に向けた経営計画を作成した上で行う販路開拓や生産性向上の取組を支援する制度です。

いくつかの類型に分かれていて、補助金の上限は250万円(経費の2/3が上限)となります。

※第12回小規模事業者持続化補助金(2023年6月1日締め切り)

補助金の使い道(例)

小規模事業者持続補助金の公募要領に記載のある補助金の対象となる経費の例を記載していきます。あくまで例となります。

高齢者・乳幼児連れ家族の集客力向上のた めの高齢者向け椅子・ベビーチェア

衛生向上や省スペース化のためのショーケース

生産販売拡大のための鍋・オーブン・冷凍冷蔵庫

チラシ・カタログの外注や発送

新聞・雑誌等への商品・サービスの広告

看板作成・設置

試供品(販売用商品と明確に異なるものである場合のみ)

販促品(商品・サービスの宣伝広告が掲載されている場合のみ)

郵送による DM の発送

商品販売のためのウェブサイト作成や更新

インターネットを介したDMの発送

インターネット広告

商品販売のための動画作成

SNSに係る経費

風俗営業と小規模事業者持続補助金

小規模事業者持続補助金の公募要領には、補助対象事業として以下のような記載があります。

○事業内容が射幸心をそそるおそれがあること、または公の秩序もしくは善良の風俗を害することとなる おそれがあるもの、公的な支援を行うことが適当でないと認められるもの 例)マージャン店・パチンコ店・ゲームセンター店等、性風俗関連特殊営業等

小規模事業者持続補助金【公募要領】

ここで、確実に言えることは性風俗関連と4号・5号営業については門前払いとなってしまう。ということです。

では、1号から3号、深夜酒類提供飲食店、特定遊興飲食店等はいかがでしょうか?

結論としては1号から3号は難易度の高い個別審査、深夜酒類提供飲食店と特定遊興飲食店は営業形態によっては補助対象。

最も可能性が高いのは、深夜酒類提供飲食店(バー、スナック等)です。

風俗営業と事業再構築補助金

事業再構築補助金はポストコロナ・ウィズコロナ時代を見据えて新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、又は事業再編という思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援するための補助金です。

補助金の上限は、従業員数に応じて変わりますが、100万円~8,000万円とかなりの金額になります。(補助率は中小企業者等が2/3(6,000万円超は1/2)、中堅企業等は1/2(4,000万円超は1/3)となります。

事業再構築補助金の申請条件

事業再構築補助金は何らかの投資をする。というよりは事業再生や事業転換を支援するための補助金なので、申請にあたって条件があります。

①売り上げが減っている

 ある特定の期間を計算して売り上げが10%以上減っていることが条件となります。

②新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編に取り組む

③認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する

以上の条件が当てはまらないと申請の条件に入りません。

風俗営業は対象になるのか?

事業再構築補助金の公募要領には以下のような記載があります。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和 23 年法律第 122 号)第2条第5項
及び同条第 13 項第2号により定める事業
※申請時に、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和 23 年法律第 122 号)
第2条第5項及び同条第 13 項第2号により定める事業を実施している中小企業等であっても、
当該事業を停止して新たな事業を行う場合は、支援対象となります。

事業再構築補助金【公募要領】

そして、【風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和 23 年法律第 122 号)第2条第5項
及び同条第 13 項第2号により定める事業】とは主に「性風俗関連特殊営業」のことになりますので、一見すると小規模事業者持続補助金よりも風俗営業者が採択されやすいように思えます。

実際のところ、第7回の事業再構築補助金の採択者の中に風俗営業は極々まれに含まれている程度で、それも事業転換(スポーツバーから焼き鳥屋へ転換。バーがカフェを併設する。)が採択されているくらいで、事業再構築補助金を使って、たんに風俗営業を営む。というのは現実的ではないかもしれません。

店舗の空き時間(昼間の時間)に新たな事業を始める。とか業態を思い切って転換する。という大きな決断が必要になりそうです。

風俗営業とIT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等が直面する制度変更(働き方改革、被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイスの導入等)等に対応するため、生産性の向上に資するITツール(ソフトウェア、サービス等)を導入するための事業費等
の経費の一部を補助するための補助金です。

補助金額は5万円~350万円(補助率は3/4または2/3です。)

また、IT導入補助金という名称の通りIT導入に特化した補助金なので、用途はかなり限定されたものになります。

会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、ECソフト

IT導入補助金は風俗営業に対応しているか?

他の補助金と同様に公募要領を確認してみますと、【申請の対象外となる事業者】の欄に以下のような記載があります。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条に規定する「風俗営業」、「性風俗関連
特殊営業」及び「接客業務受託営業」を営む事業者(旅館業法第3条第1項に規定する許可を受
け旅館業を営む事業者(風俗営業等の規制及び業務の適正化に関する法律第2条第6項に規定する店舗型性風
俗特殊営業を営むものを除く)を除く)

IT導入補助金通常型【公募要領】

風営法の第2条に規定する風俗営業(1~5号)、性風俗関連、接客業務受託営業が除外されてしまっているので、実質的に深夜酒類提供飲食店・特定遊興飲食店のどちらかのみが対象ということになります。

その中でも業態によって風俗営業に類するということで除外されてしまいそうなので、上の2つの補助金と比べてもかなり厳しそうな雰囲気です。

ものづくり補助金と風俗営業

ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するもので、【ものづくり】なので、風俗営業とは縁の薄い補助金となります。

補助額は100万円~1,250万円となります。(補助率は1/2または2/3です。)

ものづくり補助金の対象となる経費は以下の通りです。

機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費

ものづくり補助金は風俗営業に対応しているか?

ものづくり補助金の公募要領には補助の条件について以下のような記載があります。

以下に該当しない事業であること。(該当するとされた場合は不採択、採択決定の取消、又は交付決定の取消の措置を行います。)

⑦ 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和 23 年法律第 122 号)第2条により定める事業

他の補助金に比べてほとんどの風俗営業がNGとなってしまう業種に入っています。唯一、深夜酒類提供飲食店は含まれていませんが、【ものづくり】となるとかなり難易度があがるため、敢えてものづくり補助金を選択して申請するメリットはないものと思います。

風俗営業と助成金

助成金に関しては、行政書士の業務上あまり多くは語れませんので、専門家にお繋ぎさせて頂くこととなりますが、厚生労働省のHPに助成金に該当するかどうか?の判断基準の表がありましたので、載せておきます。

助成金に関しては、補助金と違い、要件に該当すればほぼ確実に貰えるので、やはり人気は高いですね。

こまかいことは提携している専門家からご説明させて頂くことも可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

まとめ

以上の通り、風俗営業に関しては補助金も難易度が高く、対応してもらえそうなのは実質的に【小規模事業者持続補助金】と業態の転換を伴う【事業再構築補助金】の2つです。

それでも、他業種に比べて難易度は高いので、かなり綿密に計画し、事業計画書等も作りこんでいかないと難しいです。補助金の採択率(申請して補助金を受け取れる確率)はご自身で手続きして30~40%程度。専門家を経由しても60~70%程度が限度ではないでしょうか?

弊所では、【事業再構築補助金】【小規模事業者持続補助金】について風俗営業者の皆様をサポートさせて頂いております。少しでも採択率を上げたい!とお考えの事業者さまはお気軽にお問い合わせください。

弊所サポート費用

小規模事業者持続補助金着手金:50,000円
成功報酬:50,000円~
事業再構築補助金着手金:120,000円
成功報酬:補助金額の8%
   (最低報酬額:100,000円)
補助金採択後サポート実績報告書作成支援:50,000円~
補助事業・事業計画の実行支援:50,000円~

採択後のサポートは補助金の交付申請までは基本サービスに含まれています。

着手金は採択にかかわらず返金は致しません。

成功報酬の補助金額とは、実際にご依頼者様が受給された金額を言います。

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