ゲームセンターを開業するには原則として風営法の許可が必要になります。
風営法はただでさえ、誤解されがちな法律名なのですが、中でもゲームセンターで風営法の許可が必要。というのは一番イメージができにくいのではないでしょうか?
風俗という言葉を聞いて一番初めに思い浮かぶのは性風俗だと思います。その次にキャバクラやフィリピンパブ、ホストクラブ等のいわゆる水商売系のイメージになると思います。
ゲームセンターが思い浮かぶ人は一般的には少数派だと思います。
では、なぜゲームセンターが風営法の規制対象になっているのでしょうか?
法律上の文言を見てみましょう。
少し長いですが、風営法では以下のように定義されています。
「スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの(国家公安委員会規則で定めるものに限る。)を備える店舗その他これに類する区画された施設(旅館業その他の営業のように供し、又はこれに随伴する施設で政令で定めるものを除く。)において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業(前号に該当する営業を除く。)」
風営法第2条第5項
ポイントとしては「射幸心をそそるおそれのある遊技」というところになりそうです。
少し昔の話に聞こえるかもしれませんが、ゲームセンターのゲーム機を使った賭博があった時代もありました。
今だとパチンコ屋においてあった、パチンコやパチスロの台が置いてあるゲームセンターも多いですよね?そういった遊技機が賭博に使われないように。というのが1点。
もう一つは未成年者等の青少年が非行や犯罪に走ったり、巻き込まれたりしないようにということで風営法の規制対象になっています。
なお、遊技や射幸心については4号営業(マージャン店)のページにて解説しておりますので気になる方は是非ご確認ください。
そういった趣旨もあり、ゲームセンターの許可については景品交換についても細かな規制がされています。
風営法の対象となる遊技機(ゲーム機)と対象にならない遊技機(ゲーム機)
ここまでご覧頂いて疑問に思われた方もいらっしゃるかもしれません。
誤解を恐れずに言えば、ゲームセンターにおいてあるゲームの全てが風営法の規制対象になっているわけではありません。
例えば、プリクラ機、ガチャガチャ等しかないようなお店は風営法の許可を取ることなく営業できます。(1台でも規制対象のゲーム機を設置すれば許可が必要)
では、何が規制対象で何がそうではないのか?ですが、上に書いた条文に記載されています。
【国家公安委員会規則で定めるものに限る】と書いてありますので、そちらを確認しましょう。どうしても条文だけだと表現が分かりづらいので、簡単にまとめます。
①スロットマシンその他メダル等の数で結果が分かるもの
②テレビゲーム機(勝敗を争うもの又は結果が数字等で表示されるもの)
③フリッパーゲーム機(主にピンボール等)
④その他、結果が数字や文字等で表示されるもの
⑤ルーレット台、トランプ及びトランプ台等
注釈として②と④については射幸心をそそるおそれのないものであればOKとなります。
ちなみにクレーンゲームは④に該当、対戦型の格ゲー等は②に該当するので、規制対象です。
そして、繰り返しになりますが、ここに記載のない物しかないようなゲームセンターであれば風営法の許可が不要ということになります。
例としては、先ほどあげたプリクラ・ガチャガチャの他、パンチングマシーンや小さなお子さんが乗るような乗り物系の遊技機です。
風営法5号営業(ゲームセンター)の営業時間
ゲームセンターについては、風営法の許可が必要な他の営業と少しだけ考え方が違います。
深夜(午前0時から午前6時)の営業が不可な点は同じですが、大きな違いとしては18歳未満の入場が可能な点です。
そのため、別途追加で、午後6時から午後10時の間は16歳未満の者は保護者の同伴でなければ入場できない。という部分が追加になります。その他の点は同じです。
ただし、都道府県が特別な条例を定めた場合は、午前0時以降も営業を許可される場合があります。愛知県で言うと【名古屋市千種区・名古屋市中区・名古屋市東区】の各一部エリア、三重県だと【四日市市西新地、津市大門、松坂市、伊勢市】の各一部エリアにおいては、午前1時まで営業が許されています。
24時間営業のゲームセンターは何なのか?
上述したように、風営法の規制を受けないゲーム機というものがあり、それしか設置していない場合は、風営法の規制を受けないので、営業時間の縛りもなくなる。ということです。
ただし、未成年者の立ち入り等は風営法とは別の規制(例:都道府県の青少年保護育成条例等)がありますので、ご留意ください。
風営法5号営業(ゲームセンター)の構造的要件
風営法では、建物や設備にも一定の条件があります。この基準を下回るようなものは許可がおりませんので、注意が必要です。
この基準は、内装工事着手前に分かるものも多くありますし、内装工事の仕上げで変更可能なものも多いのでしっかりと把握して無駄のない内装工事しましょう。
・客室の内部に「見通しを妨げる設備」を設けないこと。
概ね1m以上の高さのもの、つい立て・仕切り・観葉植物やイスも不可、客室内に段差がある場合は要注意。原則一番低い床から1mとなります。
※ゲーム機自体が高さ1mを超える場合は原則として問題なしです。
・善良の風俗又は清浄な風俗環境を害する恐れがある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと。
エッチなポスターとかはダメです。水着のグラビアアイドルくらいなら許容されるかもしれませんが、疑いのあるものはやめておきましょう。
・客室の出入り口に施錠の設備を設けてはいけない。(直接外部に通じるものは除く。)
個室を作った場合に鍵などを設置してはいけません。
・営業所内の照度(明るさ)が10ルクス以下とならないようにすること。
照度の調整をする「スライダックス」は原則不可。地域によって固定することで許容されるケースもありますが、色々とローカルルールがあるため要確認。
もちろん、ない方が望ましい。
・騒音、振動の数値が条例で定める数値に満たないように維持できる構造又は設備を有すること。
あまりにも煩いとダメです。
・遊技料金として紙幣を挿入することができる装置を有する遊技設備又は客に現金若しくは有価証券を提供するための装置を有する遊技設備を設けないこと。
紙幣を投入して遊べるような遊技機は不可です。
ゲームセンターの景品
実は法律を見る限りでは、ゲームセンターでは景品(賞品)を提供してはいけないことになっています。
よく論争になる部分でもありますが、一応、ダメなことになっています。
第二条第一項第四号のまあじやん屋又は同項第五号の営業を営む者は、前条第一項の規定によるほか、その営業に関し、遊技の結果に応じて賞品を提供してはならない。
風営法第23条第2項
では、クレーンゲームはどうなんだ?と疑問が浮かんでくると思いますが、ここでは簡単に【景品(賞品)が1,000円以下ならOK】という運用になっている。とだけお伝えしておきます。
このことについてしっかり解説すると長くなりすぎてしまうので、また別のページにて説明したいと思います。
やや長くなりすぎてしまいましたが、ゲームセンターを開業するのも大変だ・・・ということがお分かり頂けたかと思います。
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