風俗営業の相続手続き【許可の承継は当たり前じゃない】

風俗営業を営んでいる個人が亡くなった場合、他の財産と同じく風営法の許可についても相続することになります。

厳密に言うと少し違いますが、ここではそこまでの突っ込んだ話は省略します。

ただ、何もしなくても言い訳ではなくて許可を受けた(出した)警察に相続が発生したので承認をお願いします。という手続きをしなければいけません。

目次

相続以外に別人に許可を承継できるのか?

本題に入る前に少しだけ、お話しておきたいのですが、基本的に特定の個人が受けた許可を第三者(友人・知人はもちろん、子供や配偶者でも)に勝手に譲ることはできません。

個人事業主でやっていた方が法人成りして会社として営業する場合でもダメです。

会社の合併や分割でも手続きが必要なくらいですから、当然と言えば当然ですが、どの流れであっても新たに許可を取り直す必要があります。(相続も手続きとしては、会社の合併や分割と同程度のものです。)

風俗営業の相続手続きの注意点

本題に戻します。風俗営業の許可を受けている個人が亡くなった場合の手続きについてですが、その前に条文の規定を見ていきます。

風俗営業者が死亡した場合において、相続人(相続人が二人以上ある場合においてその協議により当該風俗営業を承継すべき相続人を定めたときは、その者。以下同じ。)が被相続人の営んでいた風俗営業を引き続き営もうとするときは、その相続人は、国家公安委員会規則で定めるところにより、被相続人の死亡後六十日以内に公安委員会に申請して、その承認を受けなければならない。

 相続人が前項の承認の申請をした場合においては、被相続人の死亡の日からその承認を受ける日又は承認をしない旨の通知を受ける日までは、被相続人に対してした風俗営業の許可は、その相続人に対してしたものとみなす。

 第四条第一項の規定は、第一項の承認の申請をした相続人について準用する。

 第一項の承認を受けた相続人は、被相続人に係る風俗営業者の地位を承継する。

 第一項の承認の申請をした相続人は、その承認を受けたときは、遅滞なく、被相続人が交付を受けた許可証を公安委員会に提出して、その書換えを受けなければならない。

 前項に規定する者は、第一項の承認をしない旨の通知を受けたときは、遅滞なく、被相続人が交付を受けた許可証を公安委員会に返納しなければならない。

風営法第7条

大きなポイントとしては、4つです。

・被相続人の死亡後60日以内

・承認を受けるまでは相続人が許可を受けたとみなされる

・承認を受けたら許可証の書き換えが必要

・承認されない場合もある

一つずつ解説したいと思います。

被相続人の死亡後60日以内

相続に関する法律でよくあるのが、【相続があったことを知った時から○○ケ月】という表現ですが、風営法に関しては、死亡後60日以内なので、相続人が被相続人が亡くなったことを知ったタイミングによってはかなりタイトなスケジュールになります。

承認を受けるまでは相続人が許可を受けたとみなされる

この規定があることによって、通知があるまでの期間もお店を閉める必要がないということで、これは大きなメリットだと思います。

承認を受けたら許可証の書き換えが必要

新たに許可を受けた相続人の名前に許可証の書き換えをしてもらう必要があります。この手続きを忘れてしまうと風営法違反となってしまいますので、注意が必要です。

ただ、相続の承認を申請するわけですから、承認がおりた時点で警察の方から許可証の書き換えについてアナウンスがあるものと思われます。

承認されない場合もある

基本的には承認されるものとは思いますが、何らかの事情があって相続が承認されない場合もあり得ます。

例えば、相続人が他の店の管理者となっている場合や、極端な話、相続人が反社会的勢力の一員だったりすると承認はされないと思われます。

また、許可がおりている場合はいいのですが、例えば既得権のラブホテル(風営法改正前からあるラブホテル)については相続の対象とはなりません。そのため、建物を引き続き使用する場合は適法な状態にして利用しなければいけません。

相続手続きのメリット

風営法について相続では間に合わないなら新規で許可を取り直せばいいじゃないか?と思われるかもしれませんが、相続手続きで進められるメリットは多いです。新規許可にすることによって生じるデメリットを考えれば急いで相続の手続きをした方が結果としてよかった。ということも十分考えられます。

・承認までの期間が短い

・営業を止める必要がない

・場所的要件は(ほぼ)クリアできる

もちろん、全て大きなメリットですが、中でも最後の場所的要件についてはかなり大きなメリットだと思います。

仮に、被相続人が許可を取った後に保全対象施設が出来ていたりすると、二度とその場所では風営法の許可がおりないことになります。つまりライバルが少ないところで営業できる可能性があるのです。

業種によっては県全域で営業許可がおりないこともあるでしょう。それを考えると相続の承認を受けるのには多少忙しくなっても急いで手続きをするだけの価値はあるでしょう。

風営法の相続手続きの必要書類

相続手続きについては、以下の書類を準備して警察に申請します。申請後、承認(又は不承認)の連絡を受けるまでは通常通り営業をしていて構いません。

①相続承認申請書(様式第6号)

②欠格事由に該当しないことの誓約書

③相続人の住民票の写し
※本籍及び筆頭者の記載があるもの。外国人の方は記載の省略のないもの。

④身分証明書

⑤相続人と被相続人との続柄を証明する書面

⑥申請者以外にも相続人が複数いる場合は「相続人全員の氏名及び住所を記載した書面」及び「相続人全員の相続承認申請に対する同意書」

相続人が未成年者の場合は別途追加書類があります。

相続承認後の手続き

承認がおりたら、従前の許可証と書き換えの申請書を持って警察に申請をしなければいけません。

もし、ご相続は発生して風営法の許可を継承したい場合は早めにご相談ください。

友だち追加
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次